私はテレビを持っていません。たまにパソコンでDVDの映画を見るのが何よりもの楽しみですが。先週木曜日、額の汗をぬぐいながらダラジャニストリートをあたふた歩いていたらば、中古テレビを売るお店の前を通りかかりました。「あーーあの人は、北島何とか言う水泳選手だ。あーー、真ん中の高い台に立っている。あーーもしかして金メダルを取ってくれたんだあ。」スタッフのユニホー生地23メートルや、お客様のシーツセット15組をもってくれていたお兄さんに「ちょっと大変なので、テレビを見て・・・」と2人でテレビの前に立ち尽くす。「おーーー!!」とぱちぱち拍手する私にならって、そのあまり知らないお兄さんも拍手する。「中国は20個もメダルを取って悪いやつらだ。」店番が出てきて文句をたれる。「私は中国人の種類だけど、日本人で、このゴールドメダリストは日本人だよ。」彼らのとっては中国も日本も一緒なのです。遠い異国でみるその北島何とかさんはきりっとつり目の武者のような勇ましい顔で、体も、背の高い白人らに見劣りしない、ちっちゃいけど逞しく美しく・・・・。なんだか涙が出そうになりました。でもそんな所で泣いていたら、さっき遭遇しかけた泥棒に又目をつけられても困るので、きりっと心を引き締めて炎天下のダラジャニを抜けていきました。
何年も前のワールドカップのときは、どうしても日本ージャマイカ戦が見たくて村中テレビがありそうなめぼしいところを回りましたが(といっても3軒くらい)、どこも大国の試合を観戦していて、日本の試合は見せてくれませんでした。と、言うか恥ずかしくてお願いできなかったのです。炎天下を歩きつかれて、ドレッドヘア、ラスタの従業員ハミッディと「今度のワールドカップまでにはお金をためて発電機とテレビを買おうね。」と誓いを立てながらとぼとぼ帰ってきました。悲しかった。突然私達が帰ってきたらば、そのころまだ幼かったタッキーがお客様ように置いておいたマンゴーを盗んで隠れて食べていたのが忘れられない思い出です。今でもそのことを何かの折には私に言われてタッキーはふくれています。一生いわれつずけることでしょう。
この前のサッカーワールドカップのときはお客様が是非見たいとおっしゃるので、村の誰からかテレビを1台そして他の方から、アンテナを1本借りてきて、レストルームの2階にテレビを設置して観戦しました。「ウーーンもうそろそろテレビも必要かナ」と思うこともありますが、やはり外で遊んでいる方が楽しいし、「ついそれ(テレビ)に費やしてしまう時間がもったいない」と言うことをもう知ってしまっているので、やっぱりテレビは老後かな?