そう言うわけで、明日にはパラダイスに到着しなければ、お客様に対して嘘つきになる。嘘つきの多いザンジバルで嘘つきにならないというのが私の信条で。でも随分ザンジバってきた今日この頃です。
何人かのお客様と「19日には帰っています。お会いできます。」と言う約束をしての旅でした。
Mさんが下痢と嘔吐で倒れました。夜中から苦しみだしたMさんはもう下腹がねじられるように痛くなってきて、隣室で寝ていた私にも告げられない。
いつも2人で分け合ってご飯を食べていましたが、前日だけは1人1匹ずつ淡水魚のから揚げとチップス。私はウガリと言うぜいたくな夕飯にしたのです。その名もカンバーレ。私はまだ生だった魚の腹をすっかり残し、「ほれヒレがおいしいよ。ぱりぱり。」「ウガリはこうして握って食べるんですよ。」講釈を垂れていました。彼女は生焼けの腹まで残さずすっきり食べたそうです。原因はそれしか考えられません。
急きょまたダルエスのJATA旅行会社の社長さんに飛行機を手配していただき、イリンガからダルへ帰ることにしました。バスに揺られてのダルまでの9時間の旅は無理。マフィンガからイリンガへの移動時も彼女は苦しくて、きれいな山々の景色も見ることができず横たわったきり。そのままイリンガの政府の一番大きいという病院へ運んでもらいました。
「ぐあいが悪い人なんだから車いすで移動させてください。」
「具合が悪いと言う人にマラリアのチェックだけではおかしい。」
「顕微鏡を使ってのマラリアチェツクでなければ認めない。」
「ザンジバルならおしっこもうんこもチェックする。あんなに予約金払ったのに。」
「この人が病院を出るまで私はそばにいる。何かあったら困る」
「毛布はないのか、寒がっていますよ。」
「点滴のチューブに血が漏れてますよ。これでいいんですか?」
「看護士さ――ん。看護士さーーん・・・・・」
うるさいばばあ。それは私だった。
2.5Lの点滴を終え、気分が良くなり腹痛もおさまったMさんにお薬を飲んでもらうため、一度宿に行き「何が食べたい?」「ピザ」
えーーーーーピザ?
その宿のレストランで感心したのは従業員の方々が聾唖の方であったり、障害のある方がブティックにいらっしゃったり。聾唖の方に注文の品は自分で書いてお見せするんです。皆さん生き生きとかっこよくお仕事してらっしゃいました。その彼らの姿と経営方針には感動すら覚えました。(ネーマ クラフト)